地方銀行員はやめておけ。

地方銀行員はやめておけ。元地方銀行員による様々な事柄への日記

元銀行員が語る半沢直樹の出向の種類

地方銀行員の半沢、稲川です。

今回は半沢直樹の出向について話していきたいと思います。

私がいたのは地方銀行の話ですのでメガバンクとは違うかもしれませんが大幅に違うということはないと思いますので書かせていただきたいと思います。

 1.出向って何?

そもそも出向とは、雇用契約や所属は元機関のまま、子会社やグループ企業などの別会社で働くことです。

その際、福利厚生などは出向先の企業のものが適用されます。また給与などは企業間で相談されるのですが、一般的には最低でも元の8割程度は保証され、それを元企業と出向企業で分担されることが多いそうです。

さて、銀行員の出向というのは、大きく分けて2種類ほどあります。

それは、「関連会社出向」と「融資先出向」です。

2.関連会社出向

関連会社出向とは、その名の通り元の金融機関の子会社等へ出向することです。

金融機関はATM整備を請け負う会社や保証会社、リース会社など様々な子会社を持ってい、幅広い業務や雑用をしています。

さて、ここへの出向は栄転なのでしょうか。

まったくそんなことはありません。半沢直樹のドラマ内でも言っていたように子会社への出向は基本的に片道切符と言われています。

この関連会社は、基本的に出世競争に敗れた方や年齢的に定年間際の方、何らかの問題を起こしてしまった方が行くところなのです。

なので、私のいた銀行では、行員から(特に上席)関連会社の方は業務に対するやる気もほとんどなく、プライドだけ高い面倒くさいやつというようなイメージを持たれていました。(当然そんなことはなくまじめに業務をしていた人がもいます)

また、校内での立場も弱いです。

一例として、当時新入行員であった私は様々な雑用があったのですが、その中にATMの整備などもありました。本来は前の担当者から引き継ぎをしなければならないところを、ATM関連会社の出向社員に無理やり来させて1週間ほど教えていただきました。

本当に40代のお方でとてもいい人だったのですが、すべての人に敬語で接していました。一方で私の2年目の先輩などは顎で指図したり、出向社員からの指示をまともに取り合わないなど非常に横暴な扱いをしていました。また、上司も「あの人は○○だからいいんだよ」などと言っていました。

このエピソードからもわかるように2年目行員よりも立場の低くなる関連会社の出向社員が栄転なわけがないんです。

ついでに言うと給与もとても下がります。私が聞いた話によると50代の出向社員の給与は総支給で月30万もないそうです。(参考までに副支店長の総支給は850万)

ドラマ半沢直樹の例でいうと、半沢直樹本人のセントラル出向、小木曽次長の出向、浅野支店長のマニラ出向などがこの例に当たります。

3.融資先出向

次に融資先出向というものがあります。金融機関は融資先との関係性を築くためや財務の改善を図るためなどの様々な理由で取引先へ出向させることがあります。

さて、こちらの出向は栄転なのでしょうか。

はっきり言うとこの出向は栄転です。

私がいた銀行では、この融資先出向をする人というのはほぼエース級の行員が多く、帰ってきたときに何らかのポストや役職に就く方が多かったです。

また、この融資先出向の特徴として、自らの意思で戻ってこない方もいました。

取引先の財務役員の方と話していると実は元行員でスカウトされたから退職し、出向先に就職したという方もいました。

実際、無能な社員を融資先に出向させて使えないなってなったとき、銀行全体の信頼も落ちてしまうので無能な社員を出向させるわけがないといえばその通りです。w

ドラマ半沢直樹の例でいうと、三笠副頭取、伊佐山、諸田の出向が融資先出向に当たりますが、この出向はどちらかといえば懲罰に近いので栄転ではないと思われます。

 

いかがだったでしょうか、今回は出向について書いてみました。自分の金融機関ではこうだったなどがあれば教えていただければ幸いです。