地方銀行員はやめておけ。

地方銀行員はやめておけ。元地方銀行員による様々な事柄への日記

元銀行員が探る半沢直樹の元ネタ探し-オレたちバブル入行組編-

こんにちわ、元銀行員の稲川です。

今回から今人気のドラマ半沢直樹の不正事件の元ネタ探しをしていこうかなと思っています。

今回は半沢直樹第一章の「オレたちバブル入行組」の不正事件の元ネタや似ている事件を探していこうと思います。

 

まずは半沢直樹の不正事件の概要から行きましょう

1.大阪西支店での5億円の不正融資

大阪支店長の浅野が支店成績トップを目指すため、新規取引先で案件獲得してきた大型案件を2年目行員に任せ、そのサポートを半ば強制的に融資課長の半沢に任せた。

半沢は取引先へあいさつに向かうもずさんな対応、書類管理などからとても5億円の融資を通せる相手ではないと判断し、「持ち帰って検討させていただきます。」と対応する。(実際、銀行員は前向きではない案件に対し、無駄に一回持ち帰って検討するといいがちである。)

そして、断りを入れようとするも支店長の判断により無担保での5億円融資が決定する。そしてなんだかんだ西大阪スチールの粉飾決算が発覚し、ほとんどの融資が焦げ付く結果になります。

なんだかんだあり、支店長と西大阪スチールの癒着(5000万のリベート)が見つかり、西大阪スチールの計画倒産も発覚し、隠し財産等抑えられてしまいます。

ここで不正融資のポイントとして

①役職者と企業の癒着(5000万)

②動機が成績向上と賄賂

が主な元ネタ探しのポイントかなと思います。

 

2. 同規模金額の不正融資の探してみた。

GOOGLEでトップに出てくるのはみずほ銀行の5億円不正融資でした。

ざっと説明すると、平の行員が取引先と癒着し数億円の見返りをもらうとともに複数回に分けて20~30億円の不正融資をしたというものです。

似ているポイントとしては①の行員と企業の癒着くらいでしょうか。

www.nikkei.com

次に出てくるのはスルガ銀行の(かぼちゃの馬車)不正融資です。

これは有名なので説明するまでもありませんが行員どころではなく、銀行全体で不正が行われていた例になるのであまり似てはいないでしょう。

 

3.大阪での不正融資の案件を探してみた。

・一番トップに出てくるのは尾上 縫という人物の巨額詐欺事件です。

概要としては、旅館や料亭などを経営していた傍ら客に対し、株価や競馬の勝ち占いをしており、的中率に驚いた証券マンなどがこれに群がった(この時点で銀行員証券マンの能力が低すぎることが分かる)。そして借り入れを重ねその金で融資した結果、1989年の延べ累計額では借入が1兆1975億円、返済が6821億円となり、架空の預金証書を作成し、さらに借り入れしていった。結局2兆近くを借り入れており、自己破産していった。融資を行っていた東洋信金は潰れ、様々な爪痕を残した。

概要を書きましたがこれも額が大きすぎるし複数の企業にまたがるので元ネタとは言えないでしょう。

 

二件目はまたスルガ銀行の同じ事件が出てきました。

 

三件目は百十四銀行という地方銀行の不正融資が出てきました。

 

概要

百十四銀行九条支店(大阪市)の不正融資事件で2007年8月~08年1月、回収見込みがないにもかかわらず、小川被告が実質支配する企業グループに計約9億5千万円の融資を行った。長年の九条支店の取引先だったものの、営業不振で融資が焦げ付いていたOA機器会社(大阪市中央区、倒産)の破綻(はたん)を回避するために、小川容疑者に迂回融資の受け皿になることを依頼。迂回融資は平成19年12月から20年1月ごろまで実施され、約2億円に上ることも判明した。九条支店の行員数人にゴルフや高級クラブでの飲食接待を繰り返し、スーツも贈っていた。小川容疑者の個人的なブランド品購入にもあてられていたという。結局10億近く融資しそのうちの7億が不正融資だったようだ。

www.nikkei.com

ちょっと長く書いてしまいましたが、なんだか似てませんか?半沢直樹の事件とこの不正融資。

①支店長自らが私的に交流し多額の賄賂をもらう。②.支店の成績向上(破綻回避+融資額増量)を図る。

などこれが元ネタなような気がしました。

が、詳しく調べると小説の発行時期は2003年11月であり、事件が起こった2007年よりも前のことになります。なのでこの事件は似ていますが違うでしょう。

今回は元ネタを探すことができませんでした。申し訳ないです。知っている人がいればコメント等で教えていただければ幸いです

 

もっと調べれば出そうな気もしますが、今回はこの辺にして終わりにします。

次は伊勢島ホテルの元ネタを探していこうと思います。

 

4.粉飾決算の余談

銀行員をやっているといろんな企業の決算書を読むことができます。たまにおそらく、逆粉飾決算だろうなという中小企業をいっぱい見てきています。

逆粉飾決算とは、実際の経営よりも悪く決算書を作り、脱税等を図るというものです。

この、逆粉飾決算をやっている会社の大まかな特徴(必ずしもやっているということではありません)は

①家族で切り盛りしている飲食店(3-5人程度)

②繁盛している店

③レシートを渡す癖のない店

がやっているところが多かったです。銀行としてはもうかっているなら別に構わないのっでそこまで追及はしませんが、支店内では融資の可能性が低くなる案件なので、投信の売り込みを積極的にする銀行員を担当にされる場合が多いです。